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藤猫のオススメ本の紹介・今日の1冊

マンガから、小説、随筆まで、

藤猫がオススメの1冊を紹介いたします。

「りんごは赤じゃない」 山本美芽 著・新潮文庫

カリスマ教師としてテレビの取材などを受ける、太田恵美子さんを追ったノンフィクション。虐げられた主婦生活で自分の存在価値さえも持てなかった太田さんが子供を連れて家出し、教職免許を取得し、いろんな事に束縛された子供達の心の教育をしていく、こんな先生に会いたいと実感する1冊。太田さんは進学や内申書という矛盾や現場との孤独とも戦っていたのが切ない話でもあります。先生や子供を持つ方々にも読んでほしい1冊。

「本を読む女」 林 真理子 著・新潮文庫

昭和の始め、本を読むことが大好きな一人の女の子がいました。父が亡くなり、戦争が始まり、結婚によって不幸になっていく、愛しい姉達の姿を見て、結婚せずに好きな本だけよんで暮らして生きたいけれど、奔放な生活に飛び込んでもいけない。人生の節目にはいろいろな事柄に翻弄されつつも、読書を支えに、第二次世界大戦の敗戦も本によって支えられた、著者の母をモデルにした1冊。

「花埋み」 渡辺淳一 著・新潮文庫

日本最初の女医「荻野吟子」という女性を辿り、彼女の一生を描いた1冊。明治初期の女性に学問が必要ないという風潮の中、人の好機の目に晒されながらも、鉄の意志で貫く、女医への道。いつ閉ざされてもおかしくない道だったのに、いつも懸命に生きる彼女に手を貸す人々がいた。昔ながらの強制的な結婚によって傷つき、懸命に立ち直り、他人にも自分にも厳しいけれど、愛しい人という印象が残りました。

「さぶ」 山本周五郎 著・新潮文庫

題名はさぶでも、主人公は栄二という子供の頃からずっと一緒だった二人の友情の物語。栄二のガンコさに唸りながらも、さぶの優しさにじ〜んとしたり。自分に素直で生きるのがヘタな栄二に男を感じる人も多いのでは?さぶが好きになってしまった、1冊。

「おもしろ大江戸生活百科」 北村鮭彦 著・新潮文庫

時代劇や読み物では分らなかった、上様の生活スケジュールや、大奥との決まりごと。けっこう神経をすり減らしていたのでは?大名や武士の生活もピンからキリまで。町人の生活、遊郭、娯楽、犯罪と刑罰。文章は短めに、分りやすくたくさんの章に分けて江戸について書かれてあります。

「しゃばけ」 畑中 恵 著・新潮文庫

廻船問屋の一人息子、一太郎は出生にも秘密があって、他の人には見えない妖怪が見える。生まれた頃からのお守りは犬神の白沢の二人の大妖怪。ある夜、殺人現場を目撃してしまった事から事件は大江戸の大火へと・・・。続編もあるそうです。

「一日江戸人」 杉浦日向子 著・新潮文庫

マンガ家でもある著者がイラストも交えて、本当の江戸人の生活を綴った1冊。時代劇で刷り込まれた江戸の生活は本当はちょっと違っていた。旅支度、火消し装束、長屋生活。江戸の男の人はフリーターでわりとその日暮らしなアバウトな生活だった?仕事は生活できればちょうどいい。人生楽しまなくちゃと遊びや食も大切な江戸の町人の生活あれこれ、覗き見です。

「無人島に生きる十六人」 須川邦彦 著・新潮文庫

この物語は明治三十六年に実際にあったお話です。難破した船の十六人の海の男達は無人島で船が通りかかるのをひたすら待ちます。この頃の海は本当に豊かだったのだという事がよく分ります。著者は商船学校時代に教官の実体験を聞き、四十年後に少年クラブという雑誌に読み物として発表しました。皆死んでいてもおかしくないはずの状況だったのに、誰一人として死んだりしなかったのは、本当の海の男の知恵と勇気、そして船長の判断力。温かい1冊。

「麦ふみクーツェ」 いしいしんじ 著・新潮文庫

いつも頭の中で響いている、麦踏のリズム。絶対音感の祖父が小さな町で作り上げた楽団は、団員達の努力で大会で賞を獲る。そんな幸せな日々が続いていくと思っていたのに、不幸は天から降り注ぎ、大事な人たちが命を賭けてとりもどす、忘れてしまいそうなあの幸福な日々。切なくて、大切で優しい。音楽は体の奥で鳴り響いている。静かな感動が胸にせまる1冊。

「薬指の標本」 小川洋子 著・新潮文庫

二人の老女の住む建物の中にその標本室はあった。薬指の怪我から工場を退職し、目に留まった一枚の事務員募集の張り紙。持っていては痛すぎる思い出の品々を人はこっそりと標本にするために、標本室を訪れる。また、標本技術者から贈られた皮の靴。「毎日その靴を履いてほしい」いつしか靴はまるで足の一部の様にぴったりと・・・。どこかにきっとあるそんな気がする標本室の物語です。

「地中海の猫」 岩合光昭 著・新潮文庫

猫大好きの野生生物写真家の岩合さんが、取材で訪れたシチリア・エジプト・ベネツィアなど地中海沿岸諸国で出会った猫ちゃん達の文庫版写真集です。古い教会、石積みの町、サハラ砂漠、漁師さん、牧畜のおばさん、白いファルーカを操るヌビア族の子供、どの写真も日常に溶け込んだ猫達はいきいきとした表情です。猫好きさんにホッとする1冊。解説養老孟司さん。

「とらちゃん的日常」 中島らも 著・文春文庫

影山民夫さんと中島らもさんの著書は角川文庫ハマリ時代(10年前?)にたくさん読みました。たまたまこの本を手に取った頃、著者の中島らもさんがお亡くなりになり、本当にびっくりしました。猫を拾った事から猫熱が高まり、飼い主に猫を返した後も猫を求めてタクシーをとばし、とらちゃんという女の子と過ごした日々とらもさんの日常を綴ったエッセイです。

「生物学個人授業」 岡田節人・南伸坊 著・新潮文庫

発生生物学を長く研究された岡田節人さんが南伸坊さんを生徒に「生物学とは何ぞや?」と進める1冊。中学・高校の生物で習った聞き覚えのある細胞などの名前。最初は優しく、そして、もうワカラン?というくらい難しくなっていきますが、授業で習ってワカランのままだった事が噛み砕いて優しくわかるのもこの1冊。関西弁でおもしろく解説してあります。

「解剖学個人授業」 養老孟司・南伸坊 著・新潮文庫

解剖学者であり色んな本を出している、養老孟司さんが南伸坊さんを生徒に授業形式で進める解剖学についての一冊。解剖から分ること、昆虫採集から知る事が出来る観察眼。日本(世界)を含む社会の脳化。解剖学からみる死とは?死生観とは?おもしろく、分りやすく、そして考えさせられる1冊です。

「心理療法個人授業」 河合隼雄・南伸坊 著・新潮文庫

心理療法で有名な河合隼雄さんが南さんを生徒に授業形式で進める、心理療法って何?という内容です。この職業であると、人の心が分ると思われているようですが、「わかってたまるか」と返事してしまうあたり、この河合さんらしいというか・・・。心の病といわれているものが治るとするならば、命がけで最大限の努力をしています。というのも河合さんらしいと思いました。