藤猫のオススメ本の紹介・今日の1冊
マンガから、小説、随筆まで、
藤猫がオススメの1冊を紹介いたします。
「遠野物語」 柳田 国男 著 集英社文庫 2002/11/30 |
岩手県の遠野地方に口伝えに伝わる、伝承や不思議な話をまとめた1冊です。家の方向について。河童・神様・山男・天狗。自然を畏れ敬う気持ちを忘れずに、より良く生きるための昔の人たちが残してきた知恵。そういうものを、昔話としてかたずけてしまいはじめた頃から、自然破壊も進んでしまったのではないかなと思います。私も子供の頃に教わった、河童との相撲のとり方なんかを、このHPに残しておきたいと考えています。 |
「小川未明 童話集」 小川 未明 著 新潮文庫 2003/11/29 |
「赤いろうそくと人魚」というお話をご存知でしょうか?子供の頃、美しい挿絵のついたこのお話を読んだ記憶がありますが、今年の夏に文庫版を購入し、読み直してみると、小川未明の童話はちょっと悲しくて、痛々しい感じでした。数年前、陶芸を始めた頃に、やっと形ができるようになったものの、まだ、手に持つと「重いな」と感じるものしか作れませんでした。当時、四国の文通していた人に「重い茶碗ですが」と言って送ると、その人はそのお茶碗の感想を「殿様の茶碗」という童話を思い出しました。という感想と、大事に使いますと言ってくれました。誰が書いた童話なのか、分らずに、そのままになっていましたが、この本を購入したときに、その「殿様の茶碗」のお話が載っていたのでした。悲しいお話ではなかったです。重くても、使う人に思いやりのあるお茶碗をというお話で、焼き物も初心に帰らねば・・・。と思いました。 |
「のんのんばぁとオレ」 水木 しげる 著 講談社漫画文庫 2003/11/28 |
今日の1冊は漫画です。漫画家 水木しげるの幼い頃から、小学校高学年頃くらいまでの思い出話を漫画にしてあります。作者は大戦で片手を失い、貸し本屋をしながら、漫画家になりました。作者の家のお手伝いをしてくれていた、おばあさんが語った妖怪やお化けのお話に想像力が加わり、素敵な1冊になっています。ちょっと悲しかったり、温かかったり、じ〜んときます。随分前にNHKのドラマになっていたと思います。 |
「猫は本当に化けるのか」 花輪 莞爾 著 徳間書店 発行 2003/11/27 |
著者の花輪さんは国学院大学教授であり、作家でもあります。猫にまつわる世界中のお話を集めた1冊です。日本から純血の和猫がいなくなる話・猫はなぜテレビが好きか?飼い主の悩みが猫にも染る?予知夢と猫について。猫が化けるといわれる、その理由についての考察。などなど。そういえば、先日は江崎さんとユングの夢診断についてお話しました。お話にすごく、幅が広くてすごく、楽しいお話でした。 |
「恐るべき さぬきうどん」 麺通団 著 新潮社OH文庫 発行 2003/11/26 |
香川県に「タウン情報かがわ」という雑誌があり、怪しいうどん屋巡りから始まった、うどん屋レポートの文庫本化。内容は全てさぬきうどん屋。田圃の真ん中にある看板もない小屋が口コミの超ウマイうどん屋だったり、明らかに民家にしか見えないその玄関を開けると、うどん屋だったという楽しい話。去年、香川に行ったときには、うどん屋は1軒しか行けませんでしたが、この本を読んでからは四国八十八箇所を巡礼しながら、うどん屋も巡るのは不謹慎かなーと考えたりしています。こんぴら山も奥の院まで登ってないから、また、香川に行きたいです。こんぴら山の途中に「香川うどん学校」っていうのがあって、すごくびっくりしました。 |
「猫ばっか」 佐野 洋子 著 講談社文庫 発行 2003/11/25 |
猫の絵が独特な佐野洋子さん。「100万回生きた猫」という絵本の作家さんです。可愛くはないけれど、味のあるイラストがお気に入り。この本に出会うまえに読んだ佐野さんの詩が印象的で、お名前を覚えました。「猫ばっか」は絵本のような、エッセイのような、物語のような、不思議な本です。もちろん、猫ばかりの話なんですが。猫好きな人との話は一向に尽きなくて、お互い自分の猫の話から、町のどの辺りに住んでいる野良の話に、目やにをとってあげたりなんかと、人間の方がどうしようもなく、猫バカなんですよね。 |
「新編 ノラや」 内田 百閨@著 福武文庫 発行 2003/11/24 |
内田百閧ヘもとはあまり猫は好きではなかったようですが、勝手に住み着いたノラ猫の子供が水甕に落ちて、可哀想に感じ、お見舞いの為のゴハンをあげた事から、猫との付き合いは始まります。その猫の名はノラ。ある雨の日にいなくなってしまい、彼を探して新聞折込、おまじない猫が死んでいるときけば、確認に行き、似たような猫がいれば探しに行きます。ノラがいなくなってからの思い続ける日記は362日の「ノラや」。クルというはノラがいなくなってからの猫。ノラがこの家によこしたのではという気持ちになり、飼い始めた猫。クルの想い出から小さな命が消えるまでの闘病を書いてあります。「クルやお前か」は胸に詰まるものがあり、読んでいる途中にも泣けてきます。作者の随筆は教え子との鉄道旅行記や奥様と文鳥片手に戦火を逃れ、あばら家に住むものなど、淡々として情があり大変好きでいろいろ読みました。主に旺文社から発行されていましたが、絶版です。手元の福武文庫も同じく。現在、新潮社文庫から、随筆がちょっとづつですが、発行されています。だから新潮文庫は好き。がんばってほしいです。できれば、イラストレーターの絵じゃなくて、挿絵は当時の版画を希望しています。 |
「河童が覗いた トイレまんだら」 妹尾 河童 著 文春文庫 発行 2003/11/23 |
「突然ですが、トイレを覗かせてくれませんか?」という珍しい企画から始まった、トイレまんだら。作家・女優・俳優・東洋の昔のトイレやお相撲さんのトイレ。飾りつけがすごいもの。オススメ本を置いている家。ライオンの便器や牡丹の染付けが入った便器。トイレについての対談とその俯瞰図が満載の楽しい1冊です。他人のトイレ話がこんなに楽しいとは思っていませんでした。 |
「絵のない絵本」 アンデルセン 著 講談社文庫 発行 2001/11/21 |
一番最初にこの本にであったのは、小学校の図書室でした。いわさきちひろ さんが挿絵を描いた、美しい1冊でした。絵本というには、挿絵は数枚の絵しかなかったのですが、綴られる言葉は優しく、その1枚の絵が想像をかきたて、月がまるで自分一人に語りかけてくれるような、気持ちになりました。 子供の可愛いお祈りの言葉、優しい恋人の言葉、悲しい少年の死・・・。月はいつも優しい光を投げかけて、それらの人々を見守り、光の接吻をなげかけます。現在手元にあるのは、文庫版ですが、いわさきちひろさんのバージョンを探そうとおもっています。 |
「猫だましい」 河合 隼雄 著 新潮社文庫 発行 2003/11/20 |
ユング派心理学者の著者は猫が好き過ぎて、猫の掲載されている本を調べて、読みまくり、その結果発表のような内容になっています。しかも、心理学の方面からも考察してある、「なぜ、猫は化けるのか?」やマンガの大島弓子(メルヘン調)「星の綿国」、絵本の「100万回生きた猫」、日本昔話に魔女について・・・。幅の広さに驚きつつ、今後の猫本の参考にさせていただいたりしています。 |
「おめでとう」 川上 弘美 著 新潮社文庫 発行 2003/11/19 |
恋愛小説はあんまり読まないのですが、これは普通と少し違う恋愛の光景です。それは女友達と恋人の間の様な関係であったり、別れた男女が偶然にも再会し二人の関係は完結するのか、新しく始まっていくのか?人間ではない者同士の優しい温かい「運命の恋人」、恋の始まりを思わせる「ぽたん」はお気に入り。西暦三千年1月1日の私達へという手紙形式の「おめでとう」はじ〜んときます。 |
「明治の人物誌」 星 新一 著 新潮社文庫 発行 2001/11/18 |
星さんの描く人物誌は本当に素敵です。人物が本当にそう語っていたように会話が聞こえてきます。そして、著者の感想は冷静的ではあるのですが、その人物に対して好意を感じるのが分ります。野口英世・伊藤博文・岩下清周・新渡戸稲造・エジソン等。著者の父、星 一氏と関わりのあった人、関心のあった人など、星 一氏とのエピソードを交えた明治という時代を駆け抜けた、人々の記録です。下記に紹介した、「明治・父・アメリカ」と合わせて読むとまたおもしろいです。 |
「沖縄のナ・ン・ダ!?」 沖縄ナンデモ調査隊 著 双葉文庫 発行 2003/11/17 |
沖縄にあこがれて15年、去年やっと上陸してきました。主に観光名所と言われる所を友人に案内してもらいましたが、次回行くときはデジカメ片手に沖縄の植物と撮りまくろう・・・!と心に決めている次第です。沖縄へ行く前に、食べ物、文化、健康法にカチャーシー等、気になる色々を教えてくれたのが、この1冊です。他にも沖縄の本を色々集めて、予習してばかりいます。他にも沖縄オバァについて、熱く語る本「沖縄オバァ列伝」など色々集めて読んでいます。 |
「夏の庭」 湯本 香樹実 著 新潮社文庫 発行 2003/11/16 |
子供の好奇心というのは、時に驚かされる事に向けられる事があります。この本に登場する数人の少年達の好奇心は、死んだように生きる一人暮らしの老人を観察する事に始まります。小さな事柄を積み重ねていく事で老人と少年は次第に心通わせていきます。夏休みの合宿が終わったら、あれを話そう、一緒に果物を食べよう、合宿のお土産は・・・?心が通い合った途端の悲しい永遠の別れ。最初の約束通り、老人は自分の死の枕元に少年達を呼び寄せます。少年達は、確実にこのひと夏で心の成長を遂げていきます。 死の恐れが薄れつつある現在。大切な事を教えてくれる1冊です。若い人にたくさん読んで欲しいです。 |
「河童が覗いたインド」 妹尾 河童 著 新潮社文庫 発行 2003/11/15 |
突然ですが、妹尾河童さんがすきです。どのくらい好きかというと、発行されている著書はほとんどかき集めて読んでいるくらいで福岡ドームの周りに色んな人の手のブロンズがあるのですが、妹尾さんの手形と握手して放したくないくらい好きです。著書の中でもこの1冊は超オススメです。描かれた細密画・食事・お店・タージマハールに地図・サリーの着方・お米の刈入れ・陶芸・カースト制度・泊まったホテルの俯瞰図。各ページの文字もすべて手書き。ページ数は277枚。お尻に下痢止めの栓をして、インドの隅々を覗きまわります。何時か必ずインドに行こう・・・と心に誓う1冊です。妹尾さんの本はかなり好きなので、度々紹介したいと思います。 |
「孤独なハヤブサの物語」 J・F・ガーゾーン 著 沢木 耕太郎 訳 新潮社文庫 発行 2003/11/14 |
これは、1羽のハヤブサが今まで食料として見て来た、他の動物の命に気が付いた、ある感情から生まれた物語です。美しいイラストと共に描かれる、1羽の孤独なハヤブサの生き様。殺さないで食べて生きていくことはできないだろうか?それは、猛禽類として生まれてきた彼にはとてもつらい選択でした。大人にもそして子供にも読んでほしい、美くて悲しいでも、暖かい、そんな1冊です。訳者のあとがきを読んで、この人がこの作品を訳してくれて良かったとおもいました。 |
「明治・父・アメリカ」 星 新一 著 新潮社文庫 発行 2003/11/13 |
SFショート作家として有名な、星 新一さんが実の、父 星製薬の創始者、星一さんの若き日の姿を描いた作品です。舞台は明治時代。福島に生まれ、東京で学び20歳でアメリカに渡った青年の青春。読み進むうちに引き込まれ、生き方、人とのふれあいに心打たれます。そして、星一という一人の青年にだんだん好意を持ってくるそんな一冊です。野口英世や伊藤博文も出てきます。 |
「ひかりのあめふるしま ・屋久島」 田口 ランディ 著 幻冬社文庫 発行 2003/11/12 |
この本の存在を知ったのは、10月に「花の対馬ネットワーク」の観察会にいらっしゃっていた、屋久島のYNACという野外活動センターの方から頂いた、活動内容のパンフレット。どうしても読んでみたくて、ネットで探してもらいました。屋久島に通い詰めた著者がふれあった人々の思い出や屋久島を1人で楽しむ術が満載です。森に行きたくなる、苔に会いに行きたくなります。人と人との運命の出会いを感じます。 |
「ボクの音楽武者修行」 小澤 征爾 著 新潮文庫 発行 2003/11/11 |
指揮者として有名な小澤征爾さんの若かりし頃の思い出を綴った1冊です。貨物船に乗り、富士重工が出してくれたスクーターに乗り、「棒ふりコンクール」に挑戦!色んな場所へ行き、人に出会い、心が暖かくなる、温かい涙がでてきます。本を読み進めるうちに、結果発表の「ムッシュー・セイジ・オザワ!!」なんていう所では、自分が拍手したくなったり、ブラボーと叫びたくなる衝動に駆られます。小澤さんのCDを聞きたくなる、音楽がもっと好きになる、色んな人に沢山読んでほしい本です。 |
「猫のいる日々」 大佛 次郎 著 徳間文庫 発行 2003/11/10 |
私が藤猫の名前を考えたのは、数年前に購入した、この1冊からでした。「藤の花と猫」美しい言葉で綴られていく、暖かい著者と猫の日々。 「白い藤の花が早く咲いたものから雪のように土にこぼれる。庭の籐椅子に睡っている黒猫の背中にもそれが散っている。猫は平気で睡っていて静かな呼吸とともに浮き沈みする深々とした毛の上に、小さい花を乗せたままでいる。」 「熱海の猫」「猫々痴談」「隅の隠居」「お通夜の猫」「ここに人あり」は特にお気に入り。心温まる人と猫とのふれあいが描いてあります。 |