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藤猫のオススメ本の紹介・今日の1冊

マンガから、小説、随筆まで、

藤猫がオススメの1冊を紹介いたします。

「ダニエル先生ヤマガタ体験記」 ダニエル・カール 著・集英社文庫

東北弁を話す外人さんとして有名なタレントのダニエル・カールが書いた東北弁になった訳が楽しく、真面目に描いてあります。駅ほホームで話す老人の言葉が分らなかったり、電話の受け答えに戸惑ったり。彼女と結婚できるまでの色んな壁の話。日本とアメリカの教育方針の根本的な違いなど、納得の1冊です。

「ぶらんこ乗り」 いしいしんじ 著・新潮文庫

小学生の姉弟が主人公の物語。姉が弟の書いたノートを見て、弟の事を思い出しながら描く形式で綴られ、ノートには弟が作った美しい物語が納められていて、その短編の物語の美しさにじーんときました。恋愛の愛はよく書き表されますが、兄弟や家族の愛を静かに、いとおしく描いてある素敵な1冊です。

「椰子・椰子」 川上弘美 著・新潮文庫

もぐらと一緒に写真を撮る。子供たちをたたんで押入れにしまう。片思いの彼と初デート。ほとんど出てこない夫。日記の形式で綴られる日々はなんだかへんてこな世界で、読んでいてどんな光景を思い浮かべたらいいのか困ってしまうような物語。その正体はなんと、著者の夢日記でした。夢って夢の中ではその世界でなりたっているのだけれど、現実に思い出して人に話そうとすると、本当にへんてこな世界だったり、設定だったりします。人の夢に足を踏み入れてみたくなった方にどうぞ。

「ゆっくりさよならをとなえる」 川上弘美 著・新潮社文庫

ほのぼの、のんびり、あっさり、さっぱりそんな言葉がぴったりの、作者の日常を描いたエッセイ集です。おいしいお酒が飲みたくなったり、紹介してある本が読みたくなったり、おいしいおつまみが食べたくなったり、料理したくなったり、でも、一番はお散歩に行きたくなるような、毎日を大切にかわいく生きていきたくなるような、すごく大好きなエッセイ集です。

「溺レる」 川上弘美 著・文芸春秋文庫

駆け落ちものと知って、どんな駆け落ちなのかとドキドキしながら読み進めて行くと、なんだか、なぜ駆け落ちしたのか分らないような気分で逃げている2人の話であったりして、でも、そのような2人にも淡い愛情が一番底にうっすらと敷いてあるようなお話。情死しようとして失敗して死んだ彼女の思いだけが残り、淡々と情死以前から生き残った彼が年老いて死んでしまい、なおも彼女の思いだけが残っていくような物語。

一番好きなのは五百年死なない2人の物語。作者らしいなんだか淡くて、さっぱりしていて恋愛ものなのに、ぜんぜんそんなふうに思えない恋人同士の2人のいくつもの短編集です。

「センセイの鞄」 川上弘美 著・文芸春秋文庫

主人公のツキコさんはもう少しで40歳になる独身の女性。会社に行って、仕事帰りに居酒屋のカウンターでお酒を飲みながら、季節のおつまみを頂きながら、一人の生活を楽しむ女性。同じ居酒屋で高校時代のセンセイと一緒にお酒を飲むことが多くなり、淡い恋のようなそうでないような想いを抱きながら日々は流れていきます。

何時か来る別れを思いながら、それでも一緒にいる事のせつなさや愛おしさを柔らかく、淡く描いた作品です。作者の食べ物を描くのは本当に上手だな〜っと思います。きっと食べる事がすごくが好きなんですね。

2005年1月