「ホーム」  「今日のお話目次」

みかんちゃん

 

2003年12月現在、私のお布団に一緒に寝ている猫のみかんちゃんは年齢は約10歳。

白地に灰色の模様、耳や鼻はピンク色です。まるーくなって寝ている姿はまるでサッカーボールのようです。今、体調が悪く、時々獣医さんに診ていただいて注射を打ったりしています。

今日はそんな、みかんちゃんがいたずらさかりだった頃の楽しい思い出を少しお話してみます。

みかんちゃんは狩りの名手で、日曜日によく朝寝していた私のおでこに頭突きして起こしてくれましたが、必ずと言っていいほど採って来たねずみさんを見せてくれました。「おりがとうね〜くれると?」とか聞いてみますが、見せたあとはくれる事無くいつも食べてしまいました。

私が起きない時には、食べた後だったり、食べないものはそのまま枕元の畳の上に置いていったりして、起きた後にショックを受けつつ、片付けしなければなりませんでした。よく採って来ていたのは、ネズミ・ヒヨドリ・ミソサザイ・ヤモリ・モグラ等。子供の頃は蝶・カマキリ・等の昆虫類が多かったです。私の家は牛がいて、周りは山と畑なので、藁の中、牧草地の中、山へと猫が飽きる事無く遊ぶ場所ばかりです。

猫って人間に死に目を見せないという事で有名です。年老いたり、病気になったりすると猫山へ行ってしまうと言われていました。猫山はすごく深い山の中にあるので、1回下見をして、帰ってきてから挨拶し、その後猫山に入ると聞かされていました。挨拶のあとに、猫山へ行くチャンスを逃すと体力的なものも無くなって、家で見取られるのだと聞かされました。

子供の頃、スケッチ遠足で出掛けた時、古い農業用の倉庫の縁側に、昔の農機具が置いてありました。牛に取り付けて畑を耕したり、田圃を滑らかにしたりする、木製の農機具でした。もう、人も近づく事もなっかったはずの農機具の小さな隙間に、小さな猫が猫座りしたまま赤土の様な色になってミイラの様になっていました。その時はすごく怖かったのですが、死に目を見せないという事を実感しました。どのくらいの月日がその子に流れていたのでしょうか。

みかんちゃんが体調が悪くなり始めたとき、しきりに外へ出掛けたがりましたが、行かせませんでした。お医者へ行った後に脱走して、後ろ足がもつれながらも山へ向かうのを一生懸命追いかけました。「ここまで来れたら、家に帰ってもいいよ」というような顔をして、裏山の祠の上に乗っていました。普通だったら入りませんが、どうしてもみかんちゃんを離したくなかったので、連れて帰りました。今は、寒くなったのであんまり外を眺める事もなく、眠る事が多い様です。ちゃんと呼吸しているかとか、ゴハンをちょっとしか食べない日は心配になります。

時々、みかんちゃんの丸い寝姿を見て、泣きたくなります。

お風呂を覗きに来る習慣があるので、脱衣所の柱で爪をバッツンバッツン研いでいるのをみると、元気だなと安心します。元気でパワフルなオカン猫に戻ってほしいけど、まだまだ一緒の時間を過ごしていたいなと願います。