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ドン!

今日は、とある本を読んでいて、ふいに思い出した事を書き綴っておこうと思います。

今から約20年程前までは、時々「ドン」が来たという日がありました。何の事かと言われますと、ポップライス屋さんの事なのです。(ポップライスというのは、お米をポップコーンのようにして砂糖でコーティングされた素朴な味のおやつ。「ポン菓子」)今でも、駄菓子屋さんに行くと、赤や青のセロファンの三角の袋に入って30〜50円くらいで売ってあるのですが、やはり出来たてが一番美味しかったな〜と思います。

そのポップライスを作る時の機械はまるで大砲みたいな形で、鉄製の圧力容器からポップライスが出来て飛び出す時に、大砲みたいな「ドーーンッ!!」って音がするから、「ドン」が来たって言っていました。

おじさんが来ると中央橋の所に機械をすえて、一発「ドーン!」と鳴らします。そして、お米一升、砂糖1s、代金500円という放送があります。子ども達が居る家からは、みんなお米と砂糖を家の人に用意してもらって橋の所に集まります。(父の時代は砂糖ではなく、蜜原だったらしいです)お米を計って、砂糖がぐつぐつ水あめ状になったのを、加熱させた容器の中にお米と砂糖を入れて、おじさんが鉄のハンマーでガツン!と蓋の所を打つと、「ドーン」と鳴ってポップライスが飛び出します。出来たのは、一斗袋に入れてくれて持って帰ります。出来たてのあつあつを手の平にのせて食べるのが美味しかった事!!おじさんは時々、ポップコーンを作ってくれたり、シェルのマカロニや、落花生、空豆も一緒に入れてくれて、ピンクや緑の色つきのお米も入れてくれる時もあって、そんなちょっと変わったのは、ショウガの香りもほんのりして、選んで食べたりしました。バラバラのまま袋に入れて持って帰るときもあれば、砂糖を大目に持って行って、四角く固めてもらって、一握りのブロック状に切ってもらうときもありました。

ドーンという度に子ども達が「きゃー」と叫んで、笑って、余ったのをもらって食べたりしました。おじさんは地区をまわっていたので、学校で「昨日ドンが来たよ」という話を聞くと、次は自分の所かな〜?と楽しみでした。小袋に分けて、みんな同じおやつで広場や山に持って行って遊びました。

今の様に、お菓子の種類が豊富には無かったけれど、今のお菓子よりあったかいドンが美味しかった気がします。おじさんは無口な人だったけれど、熱い機械の横で汗をいっぱいかきながら子ども達の喜ぶ顔を見るのが好きな人だったかもしれませんね。

季節はちょうど今の様に、秋風が吹いてきた頃に、ドンはやってきていました。

クリにドンにムベ、焼き芋は懐かしい秋のおやつです。忘れかけていたいい事を思い出せて、良かったです。